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DesignSpark PCB: クイックスタートガイド3 [基板設計編]

ここでは、基板CAD初心者の方に、DesignSpark PCBの一通りの使用方法(回路図作成からプリント基板設計まで)を、全4回のシリーズに分けてご紹介しています。第3回目ではいよいよプリント基板を設計していきます。

プリント基板(PCB)について

プリント基板は電子部品を固定し電気的に接続するための板で、身の回りにある電気製品の中に必ずと言っていいほど用いられています。下の図のように緑色のものが一般的ですが、青・赤・茶色・ピンクなどの色のプリント基板をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

プリント基板は、樹脂で固めた絶縁体のガラス繊維に、導体の銅箔パターンを貼り合わせたものです。この銅箔の配線のパターンが各部品の端子同士をつなぎ合わせて電子回路として動く仕組みになっています。プリント基板を使うことで同じ配線パターンを大量に生産することができ、精密で複雑な微細配線が可能になります。

DesignSpark PCBでは、クイックスタートガイド2で作成したような回路図を元にプリント基板を設計し、製造に必要なデータを生成することが可能です。昨今、少数のプリント基板を低価格で製造できるサービスも増えており、このようなサービスと組み合わせてることで、本格的な電子基板を少ない費用で作成していただくことが可能です。

プリント基板は、下の図のような構造しています。大雑把にいうと、「穴」と「銅泊による配線パターン」によって構成されています。穴には「スルーホール」と「ビア」の2つがあり、部品の端子を基板を通り抜けて固定配線する穴をスルーホール、各層の銅箔をつなぎ合わせる役目をする穴をビアといいます。
配線パターンは、表面や裏面のほか、基板の内側に何層も重ねて描くことが可能です(しかもDesignSpark PCBでは使用できるレイヤー数に制限はありません!)。 本クイックスタートガイドでは、表と裏のみに描画する「両面基板」の設計をしていきます。

基板設計は、この「ビアやスルーホール」の位置を決め、それらを「銅箔のパターン」で正しく繋ぐパターンを描画する作業と言えます。DesignSpark PCBは、あらかじめ端子の接続関係を回路図の定義から取り込めるため、配線ミスを減らしパターンの設計に集中することができます。

それでは、設計を始めていきましょう。

PCBの設計

回路図からPCBファイルへの変換

まず、クイックスタートガイド2で作成した回路図を開きます。そして[Tools]メニューから、[Translate To PCB...]を選択してください。

つぎのようなウィザードが表示されますので、情報を入力していきます。[次へ]を選択してください。

次の画面では、設計に使用する設定を選択します。PCB Technologyは"2sig2plane.ptf"を、単位には"mil"、Precisionは"0"を選択してください。[次へ]をクリックします。

次にレイヤー数をなどの情報を設定します。今回は、"Define Layers"を選び、両面基板の"2 layer board"を選択してください。[次へ]をクリックします。

次は、基板の外形寸法を設定します。[Define Board Size]を選択し、Widthに"3000mil"、Heightに"2000mil"を入力してください。[次へ]をクリックします。

部品をボードの外側に最初に配置しておくので[Arrange Outside the Board]となっていることを確認して、そのまま、[次へ]をクリックします。

保存場所を指定して、[完了]をクリックしてください。

すると、次のように部品の配置された基板設計用の画面に切り替わります。回路図での作成順などによって配置が異なりますので、図と完全に同じである必要はありません。部品の端子同士がつないでいる黄色い線はラッツネスト(rats-nestとよばれ、端子間の接続関係を示しています。部品を基板に配置後、これらの配線をしていきます。

部品の自動配置

DesignSpark PCBには部品を自動的に配置する機能が備わっています。その機能をつかってみましょう。[Tools]メニューから、[Auto Place Components]>[All Components]を選択します。

次のようなウインドウが出ますので、部品間の最小距離を"50mil"に、配置間隔を"100mil"にします。[OK]を押してください。

基板内に部品が配置されていることが確認できると思います。

部品の配置の調整

自動配置では、必ずしも配線しやすい配置とはならないので手動で調整していきます。部品をクリックしドラッグすることで選択・移動が行えます。参考に次のような配置としましたが、必ずしもこれに従う必要はありません。

基板の外形サイズもこれに合わせて変更します。緑色で表示されている外形をクリックして移動させましょう。

自動配線

DesignSpark PCBでは、部品間の配線も自動で行うことが可能です。[Tools]メニューから、[Auto Route Nets]>[All Nets]を選択します。

次のようなウインドウが表示されますので、[Miter Track]にチェックを入れます。

チェックを入れると、パラメータに関するウインドウがさらに表示されますが、[Any Angle]にチェックをいれて、[Apply settings]をクリックします。

先ほどのウインドウに戻りますので、[Route]をクリックします。

すると、ルーティングが完了したことを示す表示がでますので、[OK]をクリックします。

自動で配線が完了しました。赤く示されているパターンは表面のパターンを示し、青色のパターンは裏面のパターンを示しています。このまま利用することも可能ですが、今回はより無駄がない配線とするために修正していきます。

配線パターンの修正

配線パターンの修正では、不要に配線が上下に移動してしまっているところを入れ替え配置しなおすことで、なるべく短く効率的な配線をめざします。パターンを選択する際、以下のような選択方法があります。

  • クリック: コーナーからコーナーまでのパターン(セグメント関選択)
  • Shiftキー+クリック: スルーホールやビアから次のスルーホールやビアまでのパターン(端子間選択)
  • Shiftキー+ダブルクリック: そこにつながっているすべての配線(同電位間選択)

(もちろん、Ctrlキーを使って一つずつセグメントを選択していくことも可能です。)

インタラクションバーの[Layers]タブを表示することで、表示するレイヤーを切り替えることができます。たとえば、シルクスクリーンの表示(基板にプリントされる文字など)を非表示にして、パターンだけを表示することでパターンを検討しやすくできます。

パターンを修正する際、赤や青の同じ色同士の配線が交差することのないように注意してください。配線のレイヤーを変更するには、Lキーを押してください。次のようなウインドウが出ますので[OK]を押してください。

プリント基板の配線では、信号の反射を防ぐなどの目的でコーナーを90度とすることを避けることが多いです。例として、このパターンに角度をつけて直しましょう。オレンジ色で囲んだ配線のコーナーの先端をダブルクリックしてください。すると、コーナーの位置を変更することができ、斜めに配線することが可能になります。適当な角度になったら、再びダブルクリックして、変更を終了します。

また、パターンを移動させているうちにいくつかのパターンが重なって無駄の多いパターンになってしまうことがあります。このような場合は、その部分を一度未配線の状態へと戻します。該当部分の配線をShift+クリックなどで選択し、右クリックしてメニューを表示させます。

[Net]>[Unroute Track Segments]を選択します。すると、上に示すように未配線の状態を示すラッツネストの状態に戻すことができます。ラッツネストは、ダブルクリックすることで再びパターンとして配線できます。

あくまで一例ですが次のように配線を修正しました。

パターン幅の変更

一般的に、流れる電流の量によってパターンの幅を変更する必要があります。例えば電流の多く流れる電源周りでは、抵抗の小さくするために太いパターンが好まれます。電源ライン(+15V、-15V、GND)など幅を変更したいパターンをShiftキー+ダブルクリックなどで選択します。右クリックして、[Properties...]を選択します。

[Style:]のドロップダウンリストから、[Power Nom]を選択します。さらに太い配線にしたい場合は、[Width:]に直接数値をいれて変更することもできます。[OK]をクリックしてください。選択していた部分のパターンの配線の太さが変更されます。

最終的に次のようなパターンとしました。最後にベタパターンを作成します。

ベタパターンの作成

ベタパターンは、銅箔を広範囲の面状にに配置することで、ノイズ対策や放熱などを目的として行われます。まずべたを塗る範囲を指定します。[Add]メニューから、[Copper Pour Area]>[Rectangle]を選択します。

これで、矩形を描くことができるようになっているので、基板全体のパターンが収まるように矩形を設定します。

選択領域内で一度右クリックして[Cancel]を選びます。続けてもう一度領域内で右クリックし、[Pour Copper]を選択してください。

次のように、どのNetと接続するか問うウインドウが出ますので、今回は"OUTPUT"を選択して、[OK]をクリックしてください。

すると、次のようにベタパターンが作成されました。よく確認すると、OUTPUT Netがこのベタパターンに接続されていることがわかります(青矢印の部分)。その部分をよく見ると、端子の周囲で十字にパターンと接続されていますが、これはサーマルパッドといい、はんだ付けの際、熱が逃げすぎてはんだ付けしにくくなるのを防ぎます。通常は設定を変更しなければ、自動的に生成されるようになっています。

DRC(Design Rule Check)機能の利用

最後に、作成したパターンが実際に製造に利用できる基準を満たしているかDRC機能をつかって確かめます。[Tools]メニューから、[Design Rule Check...]を選択します。

検査項目を選択できますが、今回はすべての項目にチェックを入れてください(大項目をチェックすると、自動的にすべての小項目にチェックが入ります)。[Check]をクリックします。

DRCが終了すると、次のようなテキストファイルが表示されます。[Results]の項目を確認してください。"No errors found"となっていれば、問題ありません。なんらかのエラーが表示された場合は、その部分をエラー内容に従って修正し、エラーが出なくなるまで再びDRCチェックを行います。また、エラー箇所は、パターン上にも(デフォルトでは)ピンク色で表示されます。

これで基板の設計が完了しました。次回は最後にDesignSpark PCBを利用した基板製造に必要なガーバーファイルの出力と部品の手配方法について解説していきます。

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