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ここでは、基板CAD初心者の方に、DesignSpark PCBの一通りの使用方法(回路図作成からプリント基板設計まで)を、全4回のシリーズに分けてご紹介します。今回、第2回目は回路図を実際に製作していきましょう。
(第一回目はこちらです)
回路図の作成
サンプルに入っていた次の回路の回路図を実際に作成していきましょう。
ファイルの新規作成
まず画面上の不要なタブを全て削除してください。サンプルファイルや初期画面なども削除して以下のような画面にしてください。
メニューバーから[File]>[New]を選択します。
New Designダイアログが開きますので、[Design Type]>[Schematic Design]を選択し、[Use Technology File:]にチェックを入れ、[Default (white)]が選ばれてることを確認して[OK]を押してください。
すると、下記のようなドットの打たれた白いシートが表示されます。
一度、メニュバー[File]>[Save]を選択して、ファイル名をつけて保存してください。
部品の配置
部品の配置方法を説明します。インタラクションバーの[Add Component]タブを選択しましょう。インタラクションバーが表示されていない場合はF9キーを押して表示してください。
下図のようにライブラリを選択します。(この時、ライブラリが5~6個しか表示されていない場合は、ライブラリが適用されていない可能性があるので、クイックスタートガイド1の手順でもう一度ライブラリ適用設定をおこなってください。)
目的の部品名をダブルクリックすることで、部品を配置できるようになります。
回路図上をクリックして配置したい場所へ部品をおきます。配置を終了するときは、[ESC]キーを押すか右クリックメニューで[Cancel]を選択しましょう。
必要部品の用意
下図を参照し必要な部品を準備しましょう。下図の赤字の"XXXX.cml"はその部品が収められているコンポーネントライブラリの名前です。
以下の部品を画面上に配置してください。
|
ライブラリ名 |
コンポーネント名 |
|
部品名 |
個数 |
||
① |
discrete.cml |
C |
4 |
② |
Scheme.cml |
+15V |
2 |
③ |
Connector.cml |
D9F |
1 |
④ |
? |
AD844AN |
1 |
①②③の配置時、カット(Ctl+C) 、貼り付け(Ctl+v)、アンドゥ(Ctl+z) といったショートカットが使用可能です。また操作を間違えた時は アンドゥ(Ctl + z)でやり直せます。
①②③は基本的にどのような回路でも利用する記号が入っていますので、覚えておくと便利です。
では、④はどのライブラリに入っているのでしょうか? このような場合、部品の検索機能を使うことで目的の部品を探すことが可能です。
部品の検索
目的の部品がどのライブラリにあるのか解らない場合は検索で探すことができます。検索は、[Add]メニューを開き、[Component...]を選択してください。
[Add Component]メニューが表示されたら、[library:]のドロップダウンリストで[All Libraries]を選択してください。すると、すべてのライブラリの部品が検索可能になります。
[Component:]に部品の型番を打ち込んでいくと目的の部品が存在する場合は表示されますのでその項目をクリックし、[Add]ボタンを押して部品を回路図に追加します。品番ではなく、ピン数やパッケージ形状で検索したい方は[Find]ボタンで探すこともできます。
これで、すべての部品を回路図上に用意できました。
部品の値の設定
さて、部品をそろえることはできましたが、まだ抵抗値やキャパシタンスがデフォルトのままになっています。これを変更していきましょう。たとえば、R3の抵抗値を1.6kΩにしたいとします。R3の回路記号をダブルクリックしてください。(R3や1Kなどのテキストをダブルクリックしないよう注意してください。)
すると、次のようなプロパティウインドウが開くますので、[Values]タブに切り替え、"Value=1K"をダブルクリックしEditボタンを押してください。
値の設定画面が出ますので、値を"1K"から、"1.6K"に変更し、[OK]をクリックします。
先ほどのプロパティウインドウに戻りますので、値が変更されていることを確認し、ウインドウ下部の[適用]をクリックし、[OK]を選択してプロパティウインドウを閉じます。この時、左側のチェックボックスのチェックを外すと回路図面上パラメータを非表示にすることもできます。今回はチェックしたままOKをおします。
すると回路図に値が反映されているのが確認できると思います。
同様の手順で次の図のように値を設定してください。
コンデンサはもともと値が表示される設定になっていないので、値を記入した後、チェックボックスにチェックを入れることを忘れないようにしてください。
部品の配置・反転・回転
部品を回路図に配置するために、反転や回転をしてみましょう。"D9F"コネクタの記号を接続しやすいように反転させます。
回路記号をクリックして、Fキーを押してください。反転します。
続いて、回転です。R2とR3の抵抗を回転させましょう。
回路記号の枠を選択して、Rキーを押してください(部品名をクリックしてしまうと、部品名だけが回転してしまいます)。 押すたびに90度ごと回転します。
同様にして、C2、C3のコンデンサも回転して縦にしておきます。
部品同士を接続させやすい位置に次のように移動します。この際、回路記号を選択するようにしてください。部品名だけを移動させたい場合は、部品名だけをクリックすることで移動することが可能です。
回路図の結線
ここから、部品同士を結線していきましょう。部品の端子の×印を接続したい部品の端子の×印までドラッグして離すと結線可能です。
途中でドラッグを離すとそこまでの配線が一度ひかれますのでそこを始点に再び他の端子を結ぶルートをひくことができます。配線の曲げ方は、Wキーを押すことで変更することができます。(示している以外の曲げ方もあります)
同様の手順で次のように結線してください。(わかりやすいように配線部の色を変えています)
配線の交差箇所について、● のついている部分は結線されていることになります。何もついていない部分は結線されていませんので注意してください。配線されているか不安な場合は、部品を少し動かしてみて配線も連動して動けば正しく配線されています。
Netの設定
続いてNetの設定をします。回路図上で結線されていなくても同一名のNet同士は接続されるので回路図が複雑化するのを防ぎます。"D9F"コネクタの6番ピンからのびる配線を右クリックしてください。
表示されるメニューから[Change Net...]を選択すると、設定ウインドウが出ますので、[Net Name:]に"OUTPUT"と入力してNetに名前を付けます。[Net Class:]は、"signal"になっていることを確認して、[OK]を押してください。
その後、再び"D9F"コネクタの6番ピンからのびる配線を右クリックして、メニューから[Display Net Name]を選択します。
すると、Netの名前が表示されました。
同様の手順で、右側のTO端子に接続された配線も"OUTPUT"に設定します。
途中、このようなメッセージが出ると思いますが、[OK]を押してください。これにより、先ほどの配線とこちらの配線が接続されたことになります(プリント基板作成の際にも反映されます)。
同様に表示設定も変更します。
回路図完成
これで回路図が完成しました。
次回は、この回路をプリント基板として設計していきましょう。
コメント
4件のコメント
電源の選択方法が分かりません。説明の通りだと+-5Vの電源しか見つかりませんでした。また、説明されていない+-のパーツがありますが、電源?AD844ANはどのようにして選択したのでしょうか?TEXTとVALUEの関係どうなっているのでしょうか?Cの値の変更方法がわかりづらいです。
必要なパーツが見つからない場合はどうしたら良いのでしょうか?
ライブラリーに部品を追加する方法が分かりません。RSの品番でも追加登録することが出来るのでしょうか?
回答が遅くなり申し訳ありません。
@kazumi okamoto
> 電源の選択方法が分かりません。説明の通りだと+-5Vの電源しか見つかりませんでした。また、説明されていない+-のパーツがありますが、電源?
電源が見つからないとのことですが、ライブラリを有効にされましたでしょうか?以下のページを参考にライブラリを有効にしてみてください。
https://designspark.zendesk.com/hc/ja/articles/212966269
すると以下のように schemaライブラリの中に +15 が表示されると思います。
> AD844ANはどのようにして選択したのでしょうか?
「部品の検索」で追加しております。
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