【追記 2020年10月20日】 DSPCBの操作を学べる「DesignSparkスタートアップマニュアル(CQ出版製作)」を販売しております。
【追記 2020年08月1日】 こちら入門者向けWebセミナーの動画も参照してください。
ここでは、基板CAD初心者の方に、DesignSpark PCBの一通りの使用方法(回路図作成からプリント基板設計まで)を、全4回のシリーズに分けてご紹介します。第1回目は、基本知識や操作について説明していきます。
DesignSpark PCBでできること
電子回路を安定的に動作させるには、電子部品を実装した基板を設計する必要があります。例えば、精密な部品をたくさん使うような場合、手作業でリード線を繋ぐわけにはいきません。そこで、銅箔パターンで配線を描画されたプリント基板が用いられています。プリント基板上のパターンは当然回路ごとに製作する必要があり、高額の設計費用が必要でした。しかし昨今では、販売用製品のプリント基板を小ロットで低コストで作成するサービスが急速に増えており、プリント基板製作の敷居が非常に低くなっています。無料の回路・基板設計CADであるDesignSpark PCBを使ってプリント基板を製作してみましょう!
DesignSpark PCBは、部品同士の接続関係を示す回路図を作成し、そこからプリント基板のパターンを設計することができます。更に、回路シミュレータへの出力・製造のためのガーバーデータの出力・部品表(BOM)の出力・3D CADへのモデル出力 (無料でご利用可能な3D CADDesignSpark Mechanicalもご用意しています) などに対応しています。基板加工機にデータを出力することも可能です。
基本操作
サンプル回路を開く
まずサンプルファイルを開いてみましょう。画面左上[File]>[Open...]を選択し、
C:\Documents and Settings\All Users\Documents\DesignSpark PCB\Examples
にあるサンプルファイル riaa amp.sch を開いてください。(設定によっては、別の場所に保存されている可能性もあります。)
すると、次のような画面になると思います。これが回路図です。続いて、画面の操作をしてみましょう。
画面操作
画面操作には、下図のようにマウスのホイールを使います。まずホールでズームを調整できます。回路全体を表示したいときはAキーを押してください。インタラクションバーとは、上図の右側に表示されている部分をさします。今後、部品の選択などで頻繁に使います。画面を広く使いたいときは、非表示にするとよいでしょう。
インターフェース
DesignSpark PCBのインターフェースの名称は、下の図のようになっています。特に覚える必要はありませんが、解説文中にしばしば登場するので、どこを操作すればよいかわからなくなったときにご覧ください。
長さの単位
DesignSpark PCBでは、基板設計でよく使用される4つの単位、ミリメートル(mm)、インチ(inch)、ソウ(Thou)、ミル(mil) を使用することができます。パターンの設計には、主にthouやmilが使われます。穴のサイズやボード形状など、機械設計に関わる部分にはmmがよく使用されます。たとえば、電子部品でよく用いられているDIPパッケージは、100mil(2.54mm)ピッチで端子が並んでいます。それぞれの単位は次のような関係になっています。
1000[thou] = 1000[mil] = 1[inch] = 25.4[mm] = 2.54[cm]
初期設定
使用フォルダ
デフォルトの設定では、ユーザのドキュメントフォルダにDesignSpark PCBのフォルダが作られています。この中に、サンプルや部品ライブラリなどが入っています。
ライブラリの設定(重要)
初期状態では、ライブラリが適用されていないので設定をします。まず、メニューバーから[File]>[Libraries...]を選択してください。
すると、5つのタブをもった「Library Managerダイアログ」が表示されます。この一番右側の「Folders」タブを開いて "Folders and Search Order" を見ると、4つのファイルが表示されていると思います。よく見ると下二つが無効(グレー表示)になっていると思います。この中で一番下の「C:¥~ Library」フォルダを選択し、その右にある[Folder Enabled]チェックボックスにチェックをいれてください。
次に、右上にあるUpボタンでLibraryフォルダを一番上まで移動させます。
これでライブラリの設定は完了です。右下[適用]をクリックし、ウインドウを閉じてください。
以上で、今回の説明は終了です。次回は、実際に回路図を製作していきましょう。
以下の動画も参考にしてみてください。
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